息子に寄付の意味を教える

 

お金の流れを整えて、「もらう」循環を良くするためにも、私は毎月プラン・ジャパンという団体に寄付をしています。 (なぜ寄付が循環を良くするかはまた今度) プラン・ジャパンを選んだ理由は、特定宗教ではなく用途が明確なので選びました。 ここの団体は支援している地域の子供を選んでくれて、その子と交流ができます。 私は、ベトナム、トーゴ、ミャンマーの計3人の子供と手紙のやりとりをしたりしています。 ちょっとしたプレゼントも送っています。 頻繁に手紙を書いているわけではないのですが、一年に一度、その子達がどう過ごしたが、無事に成長しているかのレポートが写真入りで送られてきます。 どの子もちょっと緊張しながら写真に写っていて、周りの風景とかからその国の雰囲気も感じられて、とても楽しみです。

 

息子がまだ5~6歳のころ、私がそういう交流型の寄付をしていると知り、息子がその子供たちに対して嫉妬して泣き出してしまったことがあります。 ママが取られるような気持になったのだと思います。 その時に、「ママの一番大事なのはりょりょ(息子)。 でも、りょりょが大きくなった時に世界のいろんな国の人達から、仲良くしてもらえたり、協力してもらえるように、ママは”今、助けが必要な人”を助けているんだよ。」と話しました。

その時から、常々、世界には学校に行けない子供もたくさんいるとか、児童労働の話とかをして、自分がいかに恵まれた状況にいるかを説明してきました。

 

 

アフリカの高官をアテンド

 

そんな息子も中学生になり、私が交流している子供にプレゼントを買おうが、嫉妬するどころか、興味すら示さなくなってきた先日、あるアフリカの政府高官を3日間アテンド通訳しました。

3日間のうち、一日は、朝に日本のとある省庁との会談があっただけで、観光となりました。

観光しながら、高官や同行しているその国の官僚達と「今は夏休みだから子供も多い」という話から、日本の学校制度の話になり、中学校まで義務教育という説明しました。

すると、高官に同行している官僚の方が「義務教育なのは分かるけど、で、そのうちの何パーセントぐらいが実際に小学校に行くの?」と聞いてきます。 (この方はまだ若いのであまり海外経験が無く、また教育に関係する省庁ではないので、日本の事情を知らなかったのだと思います。)

私はいったい何のことを言っているか、一瞬分かりませんでした。 「? え? みんな行きますけど・・・。 病気とか、いじめとか特別な事情が無い限りは・・・。」

官僚:「みんな? 全員本当に学校にいくの?! すごいな~。 じゃあ、日本の識字率って何パーセントぐらい?」と聞かれました。

私「100%ですけど、それも完璧な100%だと思います。 日本で読み書きができない人って障害がある人とか…例外的な場合に限られると思います。 他の先進国よりも、ダントツに読み書きができない人が少ない、というよりもほとんどいないのは、多分日本語の特性からだと思います。 ひらがなという一文字で一音を表す文字があるので、英語のようにスペルを覚える必要もないし、漢字が分からなくても、とりあえず書けるんです。」と伝えました。

(ヨーロッパ言語だと、アルファベットは分かっても、スペルが覚えられず、結果として読み書きができない人が一定数います。)

官僚の方は私の答えにかなりびっくりされていて、「読み書きできない人はいないんだ・・・。」と、ぽそっと、でも噛みしめるように言いました。

 

この質問を受けたこと自体が、私にとってはある意味衝撃でした。

裏を返せば、彼らの国では、子供の全員が学校に行っているわけではないということだろうし、読み書きができない人も結構いるということです。 アフリカの中でも治安も良くて、結構豊かな国のはずなのに。 数値目標である何パーセントにこだわるっていうことは、逆にそういう問題があるということ。 日本にいる私たちは、識字率とか、小学生の就学率なんて言葉すら普段の会話に出てこない。 あたりまえすぎて、意識すらしないですよね。

 

 

息子の反応

 

その日、家に帰宅して、息子と夕ご飯を食べながら何気ない会話をしました。 部活どうだった?とか。 そして、「ママ、今日、○○国の大臣や官僚のアテンド通訳でさ~。」 と切り出しました。 すると、息子は「はい、はい、ママすごいですね~。」と私の話なぞ聞こうとしません。

あ~、昔はなんでも反応してくれてとってもかわいかったのに~!!と思いながらも、官僚から受けた質問の話をしました。

 

すると、息子が意外にもかなりその話にびっくりして、「ええ~?」という反応をしました。

そして息子がこう言いました。

今まで、ママがことあるごとに、「世界には学校に行けない子供もたくさんいる」とか、「日本がどれだけ恵まれているか」とか話していたのを知っているけど、自分とは関係ない話だし、あまり実感がなかった。

なんか、テレビの中の話のような気がした。

でも、今のママの話聞いて、本当に学校に行っていない子供がいるんだって思ったし、読み書きができない人がいるんだって分かった。

オレにとってはあたりまえすぎることなのに、そうじゃない人達もたくさんいて・・・日本って結構すごいんだね・・・。 なんか、ママが寄付とかしている意味が分かったよ。

 

実際の体験に基づく話は伝わりやすい

 

息子が小さいころから今まで、さんざんそんな話をしてきたのに、なぜ今になって?と思ったのだが、やっぱり自分がどう話そうが、自分の中で実際に見たり体験したりしたことを話すと、伝わり方が違うのだと思いました。

やっぱり自分で実際に体験しないと分からないことは多いし、また、人に伝えるときも実際に体験したことって伝わるのだと、切実に思いました。

そういえば、自分が営業をやっている時でも、自分が使っているものや体験した商品の話はお客様にも伝わり方が全然違います。 同じ資料、同じ言葉で話しても、なんか違う。 それを今回改めて実感しました。

息子が今回、自分がどれだけ恵まれた状況にいるかを実感したこと、世界の問題に目を向けてくれたこと、それが今後息子のいい影響になってくれるといいなぁと思いました。

塾に行って受験勉強だけをするよりも、こういう問題を考えることや、いろんなことを体験する方が人生のためになると信じています。