対等な関係を体現しているコンサルタント

 

コンサルタントの知り合いは何人もいますが、その中で私が個人的に「この人はできる!」と太鼓判を押せる人が二人います。 二人はコンサルティングの分野も、タイプも全く違うのですが、ある共通点があることに気づきました。

 

実績がある・思いがある・真面目・誠実・プライベートも充実・家族を大切にしている・・・などはもちろんなのですが、私が気づいたのは

「クライアントとは対等」

という認識を二人が持っている、そしてそれが確実に体現されていることです。

 

この「対等」というのが意外と難しいと思うのです。

頭では分かっていても、どうしてもコンサルタント業務上「教えてあげている」という意識になってきてしまう。

自分でも気づかないうちに、口調が「上から口調」になってきたりしてしまう人が多いのでないでしょうか?

また、ひどいコンサルタントになると、わざと上下関係を構築して、相手を支配下に置いて自分に依存させるような手法をとる人もいます。

 

 

耳が痛いことを言ってくれる人こそ大事に

 

私が社長になりたての頃、まだ人間的にも未熟でしたし(今もですが)、とにかく結果を出したくてなりふり構わず・・・みたいな状態でした。

そんな時ですから、あまり社員に対しての気配りなどはできませんでした。

そしてもちろん社員との不協和音が生じましたが、自分では「結果を出しているので、何が悪いのか分からない」という状態に陥ったことがありました。

でも、誰も何も言ってくれません。

社長にわざわざ苦言を呈してくれるなんて、そこまで私は社員から信頼されてもいなかったし、そこまで社員は私のことを思ってくれていたわけではなかったからです。 もちろん、それは私がそこまで社員のことを思っていなかったからですが・・・。

 

そんな時に、私に強烈にダメだしをしてくれたのは、姉でした。

「仕事のことはよく分からない。 だけど、話を聞いているとあなたは心を失っている。 そんなことで人がついてくるわけがない。」と、かなり厳しいことを言われました。

 

そして、会社を譲渡し、社長を辞めた後、いろいろな不運が重なって大変な時でしたし、母の闘病などもあり、

「とにかく、何もしたくない。 家で布団かぶって籠っていたい!」という状況になりました。

もちろん、通訳の仕事などはやっていたのですが、自分が本当に何をしたいのかが見えなくて、いろいろ悩んでいた時です。

もう、悩むのも疲れてしまって、ただ、日々通訳の仕事をこなして漠然とした不安を抱えていました。

そして不安があるのに、何も行動する気になれない・・・

そんな時に、何度も「そうしたいなら、気の済むまでそうすればいい。 だけど、家で布団かぶって祈っていたって、お金が降ってくるわけじゃないし、何も人生は変わらないよ。」と忠告してくれた親友がいます。

耳が痛いことも何度も言われました。 だけど、本当に私のことを心配してくれて、何度も相談に乗ってくれたり、必要な手助けをしてくれました。

 

幸運にもこのような「きちんと私に苦言を呈してくれる人」が周りにいたおかげで、私は軌道修正することができました。

 

本当に嫌いな人には何も言わない

 

でも、苦言を聞いている時って結構つらいのです。

「もう聞きたくない!」と耳をふさぎたくなるし、その場から逃げだしたくなるのです。

受け取れない状態なら、逃げるのも手だと思います。

でも、私が「きちんと向き合おう、とにかく話をきちんと聞こう」と思えたのは、その人達からの愛情があることに信頼を置けたことと、その人達がきちんと対等な関係を体現して話してくれたからだと思います。

前述のコンサルタント2人が、「できる」理由もここなのかも知れません。

コンサルティングの特性上、どうしてもダメ出しをすることが出てきますが、対等を体現して相手への愛情を持ってダメ出しをしているので、相手は「聞こう」と思うだろうし、だから「伝わる」のだと思いました。

 

そして、今振り返って思うと、本当に苦言を呈してくれたことはありがたかったです。

冷静に考えると、わざわざ苦言を呈する・・・エネルギーと時間を使って、嫌われ役をやるなんて、本当に私のためを思ってくれていないとできないことです。

嫌いな人にわざわざ苦言を呈する人はいないですよね。 ありがたい・・・。

 

 

文句を言ってくるお客様こそ大事に

 

これはビジネスでも同じで、「文句(苦情)を言ってくるお客様こそ大切に」という格言があります。

私も、実際に何度も経験しているのですが、苦情を言ってくるお客様に誠実に対応すると、信頼を得ることができるだけではなく、以前よりお得意様になってくれます。

わざわざエネルギーと時間をかけて、意見を言ってくれるなんて、本当にありがたいことなのです。

一番怖いのが、何も言わずに去っていくお客様です。 いわば見放されたわけです。

(悪質クレーマーは除いて)

苦情を言ってくるということは、挽回や改善のチャンスをもらっているということなのです。

最近は苦情を買い取るビジネスもあるぐらいです。

自分に言われた苦言はまさに「金」ですね。

そして自分が誰かに苦言を呈するときには「対等な関係を体現する」ことと「愛情を持って苦言を呈する」ことを徹底してみてはいかがでしょう?