自分の直感を疑い、理論で考えた結果

 

社長の頃、人を雇う時、なぜか「この人を雇うとこうなる」とか、「この人、嘘ついている」とか、どうしてそう思うのか全く分からないけど、直感で感じていました。

営業先に行っても、ほとんどの場合で「あと何回で購入するな。」 とか、「これはダメだな。」とかを言い当てていました。

なので、一部の人達から予知能力があるとか、スピリチュアルな能力があるとか思われていたようです。 (全くありませんが!)

 

でも、本社の社長はとても堅物で、私の「なんとなくそう思う」「そうに決まっている」という意見や見解を全く受け付けてくれませんでした。 ドイツ人の常套句「そんなの、ロジックじゃない!」の一言で撃沈でした。 (あたりまえかも知れませんが・・・。)

 

そのことが理由か分かりませんが、社長時代はその直感を封印して、「頭で考えて重要な決断した」ことが何度かあります。 直感とは違う決断を違和感や不安を感じながら、思考で下したわけです。 その結果どうなったと思います?

ほとんどが、直感で感じた通りになり、悲惨な結果を招きました。

 

自分の直感を信じることにした

 

なので、ある時から、違和感を感じてどちらか迷ったら、直感に従うことにしました。

時には立場上、仕方が無く意にそぐわないことをしなくてはいけない時もありましたが、それは分かって納得してやっていることなので、ここでは除きます。

その結果、悲惨な結果というのは回避できたと思います。

会社のことで相手もあることなので、そこまで具体的に事例は書けませんが、ダメージが軽く済む。 もしくは、直感に従ったおかげで全く無傷といった具合です。

 

そして、震災後、業務を譲渡してフリーランスになったのも直感に従ったからです。

業務譲渡後、いろんな会社から声をかけていただきましたし、譲渡先と長期技術コンサル契約という話がありました。 でも、直感に従って、どこにも属さない道を選びました。 どうなるか分からなかったけど、とにかくゆっくりしたかった。 自分の時間を取り戻して、まだ低学年だった息子との時間が欲しかったのです。

いろいろ大変だったことも多かったのですが、導かれるようにいろいろなご縁をいただき、多くの人に支えられて何とかやってきました。 それも、直感に従ったからこそと思われる出会いやチャンスも多かったです。

 

破たんした人達に感じた違和感

 

この直感ですが、ビジネス案件だけじゃなくて、人に対しても同じです。

ある時、本も何冊も出していて、講演もやっていて結構メディアなんかにも出ている方に、とてつもない違和感を感じました。 その人の話を何度聞いても、何をやりたいのか、また、実際に何をやっているのか、さっぱり分からないのです。 その方は、なんというのでしょうか、人との話がとても上手で、人に話を合わせるんです。 自分のことではなく、人がその場で聞きたがっていることを言うんですね。 だから、その人自身のことや事業の質問しても答えが返ってこないんです。 たとえばこんな感じ。

 

「この、プロジェクトって実際なにをするのですか?」

「みんなに愛を知ってもらって、愛と喜びが循環するプロジェクトなんです。 すっごいことが起きますよ~!」

 

「だから、そのために具体的に何をするんですか?」

「みんなんで、楽しく盛り上がれるイベントなどを計画しています。」

 

「いやいや、そうじゃなくて、事業として何をするのかを具体的に聞きたいんですよ、イベント企画会社なのですか?」

「イベント企画もやっているのですが、他のこともいろいろやっています。 とにかく、みんなひとりひとりが、もっている能力を最大限発揮して幸せになる事業なんです~。 こんな人たちも応援してくれています(有名人)、7万円で投資できますよ、いかがですか?」

 

といった具合でらちがあきませんでした。

でも皆、この方のことをすごい人だと言います。

この方は、自分がいかに苦労してきたか、涙なしには語れないプレゼンをするので、みんなそれに感動し、雰囲気にのまれて、投資してしまうのかもしれません。

でもその翌年、この方、破たんしました。

 

別の事例ですが、ある化粧品のビジネスを立ち上げた女性社長と話していました。

なんかとてつもなく、調子がいいとのことで、製品のデザインが賞をもらったとか・・・。 そして受けた相談が、「ドイツに進出したい」と。

なので、なぜドイツなんですか? と聞くと、「ピンときた」とのこと。

ドイツに行かれたことありますか? と聞くと、一度も行ったことがないと。 でもドイツだと。

なので、ドイツはオーガニック化粧品の種類が多く、オーガニックスーパーもたくさんあること、だから競合がかなり多いこと。 EUの薬事法を調べる必要があること。 (日本の方が厳しいから、通常は大丈夫です) ビンでの輸出はかなりの輸送コストがかかること。 多人種の肌での効果をリサーチする必要があることなどをアドバイスしました。

 

「それよりは、まずは台湾、香港、韓国に輸出する方が現実的だと思う。」 と提案したのですが、全く取り合ってくれません。 「ピンときたのでドイツなんです!」の一点張りです。

仕方がないので、とにかく一度ドイツへ行ってみてから決めてくださいと伝えました。 その後、その社長から”ドイツに行ってみた”という話は一切聞きませんが、”会社が破たんしそうだ”という話は人づてに聞きました。

 

自分の直感を大切に、でもアドバイスも大切に!

 

こういった破たんした人達に感じたことは、「人に合わせすぎている、もしくは、人の意見を全く聞かない」ことです。

 

自分の直感や、信念を大切にするのはもちろんですが、意固地になるのは危険です。 人の意見も聞いてみて、そこで「なるほど~」と思ったらどんどん取り入れてみる。 でも結局は自分の責任なので、最終的にそこで「自分が責任をとれる!と思うならやる」というスタンスがいいのではないでしょうか?

 

そのさじ加減が上手くできる人が成功する人なのかも知れませんね。