私は何度も、出張で広島には行っているのですが、一番最初に広島に行った時の話を書こうと思います。

朝一番の打ち合わせだったので、前日に移動して広島のホテルにチェックインしました。

そして、部屋で夕食を軽くたべた後、「せっかく初めて広島に来たんだから、何か観光しよう!」となぜか、歩いて行けるので原爆ドームを見に行こうと出かけました。

若かったので、あまり何も考えていなかったんでしょうね。 とにかく有名だから見ようと、なんか海外の教会とか有名な建物でも見る感覚でした。 バカでした。

 

商店街を抜けて、きれいに整備されている公園を通って、ちょっと暗いけど、8時前だったので、別に身の危険を感じるようなことは全くなかったし、足取りも軽やかにどんどん進んで行きました。

 

そして、「あ、ドームだ~」とライトアップされたドームが見えたとたんに、私の目に飛び込んできたものは大きな石に大きく書かれた「鎮魂」という文字!

そのとたん、私はここで何が起こったかに気づいたのです。 足がすくみました。

そして、あまりにも怖くなって、一目散に走って逃げかえりました。

 

私はほろ酔い気分で、「観光、観光~♪」と、何人もが無念の死を遂げた場所に「何も考えずに」行ってしまった自分に対して(しかも夜に一人で!)、本当にどうしてそんなことをしたのか理解できませんでした。 ああいうのを「魔が差した」というんでしょう。

 

別に、原爆投下の事実を軽く見ているつもりも全くなくて、ただただその時は単純に、遠くから見ると、ドームの屋根ってライトアップされてきれいだったんです。 だから見に行こうと思ったんです。

でも、実際に夜行ってみると、下の方は暗くて、廃屋感がただよっていて怖かったです。

基本的には私は霊感は無いけど、かなりの怖がりなので、心霊スポットとか怪談話とか全く興味ないんです。 できればそういうところには近寄りたくないと思っています。 そんな私が夜の原爆ドームになぜ行こうと思ったのか、まったく自分でも分かりません。

 

でも、原爆ドームは今更言うまでもない話ですが、心霊スポットなどと同列に並べられない場所なわけで、行かれた方は分かると思うのですが、現実にそこで起こったことを訴えてくるものがあります。

 

私はホテルに逃げ帰って、自分の浅はかさを猛省し、そして翌日の打ち合わせが終わった後に絶対に原爆資料館と平和祈念公園に行こうと決めました。

 

出張に来る前は、申し訳ないですが、仕事のことしか頭に無かったし、原爆資料館にはあまり興味がありませんでした。 外国人に比べたら自分は学校でちゃんと原爆のことを習っているから、「無知じゃない」と変な自負がありました。

でも、夜にほろ酔い気分でキレイだから原爆ドームを見に行こうと思うほどバカだった自分が恥ずかしくなり、絶対に行かなくちゃだめだと思いました。

 

そして、翌日、打ち合わせの後、原爆資料館に行きました。

とにかくショックでした。 学校の教科書などには、あまりショッキングな写真は載ってないんですね。 それに、黒こげになったお弁当箱とか、実物が語るものって凄いです。

茫然自失という感じになりますが、とにかく目をそらさずに見ようと思いました。

 

その後、平和祈念公園で黙祷して、再度原爆ドームを見に行きました。 昼間あらためて見ると、あまり怖いという感じはありません。 でも、逆に資料館を見た後なので、本当にひどい状況だったことが、より感じられました。

 

それ以来何度か広島に行っていますが、行くたびに外国人が増えていると思います。 (まあ、日本全体でそうですが・・・)

特に、オバマ前大統領が広島を訪れてからは、知識人やインテリ層、経営者の方達の間で「広島に行った」ということがある意味ステータスというか、ちゃんと世の中の事を考えていますという証というか・・・とにかく、「みんな一度は行くべきだ」と主張する人が外国人の間に増えたと思います。 厳島神社も外国人に圧倒的な人気があるので、相乗効果でしょうね~。

 

今度は長崎にもいかなくちゃ。 以上、長崎に原爆が投下された日に私が思ったことでした。