先日、香港の「優の良品」やイギリスの「極度乾燥(しなさい。)」のように、海外で変な日本語の名前のお店やブランドのことを書きました。

(英語圏の人達が、「カルピス」の写真を撮ってしまう理由とは?)

 

そこでも書きましたが、日本でも変な英語や外国語は氾濫しています。

そして、残念ながら、海外進出しようとして、もしくはしていて、意外とここに気づいていない起業家が多いのです。

本当に「残念」です。

そして、変なネーミングだけなら、まだしも、信じられないことに、そもそもそこにニーズがないのに、勝手な思い込みで海外進出して失敗する人達も多いのです。

今回は実際に私が見た、それらの海外進出失敗例をお伝えします。

 

 

変な英語のネーミング

 

先ず私が、強烈に違和感を感じるのが、変な英語の会社名です。

例を挙げますと、意外と多い、

株式会社「ビリーブ」「Believe」は、ちょっと変です。

 

信用される会社にしたいからだそうですが、だとしたら believeは少しニュアンスが違います。

しかもbelieveだと動詞です。 直訳すると 「株式会社信じる」ですから・・。

せめてbeliefと名詞だったら、もう少し違和感が緩和されるかもしれないです。

しかも、Believe って、宗教とか、サンタクロースとかを根拠がなく信じるっていうニュアンスです。 だから、主に人が対象

会社の場合は、きちんと実績などに基づいて信用・信頼されるべきものなので、英語としてはtrust やcreditを使うのが相応だと思うのです。

まあ、名前だから自由で自分が好きなものでいいとは思うのですが・・・。 どうしても、最近のキラキラネームに対する違和感と同じような感覚を抱いてしまいます。

 

ネーミングのお手本、ドラえもん!

 

その点、私が個人的にですが、うまく名づけしていると感心するのが、ドラえもんです。

Draemon とそのままの名前なのですが、Dream-on と発音している国もあるみたいです。 (夢があっていいですよね。)

そしてすごいのが、

のび太は、Noby(ノビー) 

スネ夫は、Sneerch (スニーチ、鼻で笑うヤツ) 

ジャイアンBig G(ビッグ・ジー)、ジャイ子 Little G(リトル・ジー)です。 

 

アニメや漫画で、原作とキャラクターの名前が全く違ったりすることも多いので、「これはうまいな~」と思います。(名前が全く違う例としては、シティハンターの主人公、冴羽りょうはフランスでNickyです)

ちなみに、出木杉君は、Ace エースです。 

さすがにこれは、出木杉君の名前の「そのまま付けました感」を出すのは難しいですね。 でも、よく合っていると思います。

 

絶対にダメ! 機械翻訳はローカライズどころか、翻訳にすらならない!

 

ドラえもんは、ローカライズをきちんとやっているからこそ、できた名づけだと思うのです。 個人ビジネスの場合、そんなに大金を払って、ローカライズする必要はないと思うのですが、致命的なことになりかねませんので、

せめて一度、英語が堪能な人や現地事情に詳しい人に確認したほうが、絶対にいいと思います。

 

そこの手間と少しのお金をケチって、機械翻訳などは、絶対にやめた方がいいですよ。

 

例えば、私の知っている例で、機械翻訳の悲劇的な間違い例があります。

折り紙です。

折り紙をなぜか、Breaking paper と表記してしまっていました。

それでは「破壊紙」です! 意味わかりません。

 

Origami で通じるのに。 もしくは、Paper Folding です。

それを、多分機械翻訳か何かで、「折る=break」と表示されたのでしょう。 確かに骨折は、壊れると表現しbreak を使います。 たとえば腕を骨折したら break my arm と言います。

「骨を折る」の“break”を直訳で「紙を折る」に当てはめればいいという、数学的発想では、表現がおかしくなるのです。

こんなレベルのチェックなんて、ちょっと英語が得意な人に尋ねれば済む話です。 どうして、こんな最低限のことすらしないのか、私には理解ができませんでした。

ダメな起業家に多い、「なんでも自分でやらなければいけない」という間違った思い込みのせいでしょうか?

 

 

外国人の社交辞令を真に受けて、海外進出してはダメ!

 

次にやってはいけないと思うのが、

ビジネス素人の外国人の友人や、ちょっとした現地の知り合い(通訳とか)に

「こういうお店をやりたいんだけど、どうかな?」とか、

「こういう商品を売りたいんだけど、どうかな?」と、

聞いた結果を信じて、海外出店・海外進出することです。

 

自分の身になって考えてみてください。

例えば、もし、あなたの姉のラトビア人の知り合いが、日本に遊びに来ていて、

ラトビアのデザイナーが作った、洗礼式で赤ちゃんの額に垂らした聖水を保存できる専用容器

(←そんなものはないと思いますが、仮定として)

をお土産にもらったとします。 それが、とてもポップな柄であったとして、こんな会話になります。

 

あなた 「キレイ~。 ありがとう~。 本当に素敵だね~。」

姉の知り合い 「本当にそう思う? 日本人にもウケるかな?」

あなた 「ウケるよ~。 少なくても、私はもらってうれしい。」

 

と、こんな感じの会話をしながら、あなたは、「使い道は全くないけど、ちょっと飾っておく分にはまあいいか・・・。」 と思っているわけです。

 

そんな

ビジネス素人の無責任な社交辞令

を真に受けて、そのラトビア人の知り合いが、

「洗礼式で、赤ちゃんの額に垂らした聖水を保存できる、

ラトビアのポップなデザインの専用容器、1個¥12,000~」

のショップを日本に出店したらどうなるでしょうか?

 

まず、売れません。 

 

ニーズが無いからです。

 

日本人で洗礼を受ける人は、人口比率からすると、ほとんどいないです。

でもラトビア人だと、ほとんどの人が洗礼を受けます。 彼らにとって洗礼は当たりまえです。

あたりまえすぎて、ニーズが無いことにすら気が付かないのです。

せめて、これが、他に転用できる容器で、ポップな柄ではなくて、ラトビア伝統工芸なら、まだ売れる可能性があります。

そういうアドバイスを、お金を払って、責任を負わせた相手から、出店前にきちんともらうべきですよね。

 

「そんなこと、宗教が違うから分かるはずだ!」

「気を使って言ってくれたことを信じて、海外進出する人なんていない」

と、大げさな仮定の事例だと思うかもしれません。

でも、驚くかもしれませんが、自際にこのようなことを、海外進出のときに平気でやってしまう起業家を、私はたくさん見てきました。 

 

これらの失敗した起業家の根底にあるもの

 

そして、実感したのが、そういう起業家の人が根底に抱えているのが、海外に対する憧れと、自分のコンプレックスです。

自分のコンプレックスを、海外進出で埋めようとしているように思います。

以前、お話しした、化粧品会社を立ち上げた方でドイツに一度も行ったことないのに、「ピンときたので、どうしてもドイツに進出したい」と頑なだった方も、そうでした。

(自分の直感と人の意見のバランス 失敗から学ぶ)

 

こういう方達にとって、「海外進出=凄い」なんです。 そして「凄い」ことをすれば、自分のコンプレックスを埋められると思っているのです。

 

なので、ここで、声を大にして言いたい!

海外進出なんて、凄いことであってはいけません。

そんなの、「ただのビジネス戦略」であるべきで、

それによって得た結果で、「凄い」と言われるべきだと思うのです。

 

これ、キラキラ起業家にも同じことが言えます。

キラキラ起業家は「起業=凄い」という認識になっていて、起業することで自分のコンプレックスを埋めようとしている人が多いです。

学歴コンプレックスだったり、大会社に就職できなかったコンプレックスだったり。

だから本質を見抜くことができずに、ハリボテにだまされて、エセ起業コンサルタントにうまく乗せられて、キラキラ起業してしまうのでしょう。

起業することはあくまで、手段や戦略の一つであって、その結果で凄いと言われるべきだと、私は思います。

 

以上、海外進出失敗例いろいろでした。