翻訳者の正社員求人は激レア

 

ある会社で働く知人から愚痴交じりの相談を受けました。

募集をかけると思っている以上に高い年齢の人からの応募がすごくて、その対応に忙殺されてしまうと。

 

なんでも、知人の会社は外資系企業なのですが、マニュアルなど大量の翻訳があるので、社内翻訳を募集したそうです。

社内翻訳といっても、社内文書だから多少の間違いはOKというものでは全く無く、外部に出す文章なので、専門知識も翻訳のスキルも相当なものが要求されるそうです。

自社で募集している理由は、翻訳会社に頼んでも内容が難しすぎてひどい翻訳があがってくるから、自社で翻訳者を抱えて育てたほうがいいという理由らしいです。

 

― 未経験者歓迎でも英語が堪能なことが条件で翻訳見習い的な仕事

― 翻訳者としての経験3年以上の翻訳者

 

と2つの職種の募集をかけたそうです。

 

その会社のターゲットとしては、見習いは、5年ぐらい教え込んでからやっと本格的に仕事をしてもらうことが前提なので、30歳ぐらいまでの人を想定。

経験3年以上の翻訳者は、とにかく実力がないと話しにならないのですが、専門的な用語を覚えてもらってから長く働いてもらうことが前提なので、会社としては40歳ぐらいを念頭においていたそうです。

 

私も時々通訳をやらせてもらうことから、通訳・翻訳者の事情が分かるのですが、翻訳者で正社員のポジションってまずありません。 ほとんどみんなフリーランス、よくても期間限定の派遣です。

なので、希望者が多いのは想像できますが、その応募してくる方があまりにもターゲットとずれていて、凹むそうです。

 

殺到する高齢者

 

まず、あまりにも年齢層が高い人からの応募が多すぎるそうです。

「超高齢化社会だし、みんな働きたいと思っているのは分かるけど、60歳以上の方からの応募が毎日10人ぐらい来る・・・。」

「でもね~、結構70歳以上の人からの応募も多くて、そのうち感覚がおかしくなってしまって、60歳って見ると“若い”って思えてきちゃう」

そうです。

 

私もこの話を聞いて「日本の高齢化ってこんなところまで進んでいるの?」と、びっくりしました。

でも、きっと自分が60歳になったときにも、どこかの会社に履歴書を送りつけているってありえると思うので、「働きたいという意欲や、応募してくること自体は悪いことではないんじゃないの?」と伝えました。

 

応募資格すらないのに、応募してくるのはルール違反じゃないのか?

 

ですが、その知人がいうには、

たとえば本当に翻訳スキルのある60歳オーバーの人が応募してくるなら、理解できるそうです。

でも、「翻訳者として3年の経験」という応募資格を全く持っていないのに、「自分は外資系企業で働いていた」とか、「海外出張に何度も行った」ので英語が堪能だと主張し、応募してくる人ばかりだそうです。

中には、前の業務で自分が書いたという英文が添えられていたのもあったそうですが、本人は気づいていないのかもしれないけど、知人曰く「中学校の英語」だったそうで、愕然としたそうです。 (表現などが全く現在使われている英語ではなく、いかにも日本人が書きましたという感じの日本の学校で習う英語)

 

そして、翻訳見習いの方は、英検1級などの応募資格を設けているにも関わらず、「英語勉強中」だの「これから英検とります」だの書いてある60歳オーバーの方の応募が多いとのことでした。

 

求められている英語のレベルが分かっていない

 

あ~、これありがちな話ですよね~。

通訳なんかでも、英語が話せる=通訳ができるわけではいのに、勘違いする人がいます。

それと、60歳以上の人たちって、多分この世代って英語が話せるということがすごく特別なことだった世代だと思うんです。

だから、外資系にいて英語が少し話せる自分はすごく貴重な存在だから、通訳や翻訳でもいけるはずだって勘違いしちゃうんですよね。

 

今なんて、英語が話せる人なんてそこらじゅうにいます。 機械翻訳すらあります。

その中でお金をもらって通訳・翻訳を任せてもらうってことがどれだけ高いレベルの英語や専門性が求められるか、実感できないんでしょうか・・・。

 

知人はそんな応募ばかりが殺到して、いちいち対応するのに疲れたと愚痴っています。

中には、不採用に対して怒って文句の電話をかけてくる人すらいるそうです。

 

差別とかいろいろな問題があるのでしょうが、お互いの時間のロスになっていることには変わりないですよね。 もう少しなんとかならないものかと思いました。

少なくとも、もし自分が60歳になって職探しをするなら、法律上年齢制限がかけられないから年齢不問になっているところよりも、本当に年齢不問の会社に応募したいです。