ハローワークの職員から留守電
今回も、社員採用の際の実際にあった話です。
この時は事務職の女性を募集しており、先ずはハローワークに行って求人募集をかけました。 当時もすでに事務職は派遣でアウトソーシングする会社が多く、事務職で正社員いうのはなかなかない貴重な求人だとハローワークの人に言われました。
ハローワークで対応してくれた、結構年配の女性と世間話的な話をして、
「子供がいる方でも積極的に採用したい。 私も小さい子供(←息子がまだ赤ちゃんだった頃です)がいるから、休みが必要だったりすることへの理解はあるつもりです。」
と話しました。
募集を出してすぐに、ありがたいことに応募をたくさんいただきました。
数日後には面接を全て終えて、もう採用する方が決まり、ハローワークにも募集終了の連絡をしていました。
そんな時に、出張中に私の携帯に男性の声でメッセージが残っていました。
「○○ハローワークのXXです。 至急ご連絡ください。 電話番号は…」
ということですが、私は移動中なので電話番号のメモが取れませんでした。
仕方がないので、会社に電話をかけて、社員の一人にハローワークのXXさんに連絡して用件を聞いておいてくれるように頼みました。
会社に戻り、その用件が何だったのか、社員に聞くと、「よく分からない」と言います。
「募集した求人に関しては、すでに決まったことは伝えたのですが、採用に関して重要な話があるそうで、明日また連絡するそうです。」とのことでした。
私もその社員も何の事だか分からず、
「何か重要な募集に関する告知違反があったとか? (世間では告知している給料と実際が違うなどがよくある)
でも思い当たる節は全くないけど・・・。」と、首をかしげていました。
もう募集は終わっているのに・・・
さて、次の日。 またもや、出張中に私の携帯にXXさんから連絡がありました。
あいにく、その日は一日中、携帯禁止の実験室でデータ取りに立ち会っていたので、電話を取ることができず、トイレ休憩中に留守電のメッセージを聞きました。
すると、
「ハローワークのXXですが、御社の求人にどうしても応募させたい人がいるので、
私の携帯に連絡ください。 番号は・・・」とのことです。
全く意味が分かりません。
昨日、再度「募集は締め切った」と伝えているのに。 しかも、ハローワークではなく、自分の携帯に電話してくれってどういうこと? 採用に関して重要な話って・・・応募させたい人がいるって・・・どういうこと?
ちょっとびっくりして、混乱しました。 でも出張先の実験室内は携帯禁止だし、堂々と電話できない。
仕方がないので、トイレ内で会社の社員に携帯メールを打ちました。
「ハローワークのXXさんに再度電話して、募集は終わっていることを伝えてください」
さて、会社に戻って社員と話していると、こう言われました。
「おかしいんですよね~。 ハローワークに電話したら、XXさんは不在で、代わりに対応してくれた方に “募集は終わっているんですけど~” と伝えたんです。 そしたら、
“それは分かっています。 システム上でそうなっておりますから。 先日、募集が終わっている旨、連絡いただいていますよね? 再度ご連絡いただかなくても結構です。”
と言われたんです・・・。」と不思議そうに言います。
私も、募集締め切りの連絡はすでにしているので、XXさんからそんな電話を受けるなんて不思議だな~と思いながら、なにか連絡ミスでもあったのかな~と思いました。
だから、わざわざ社員に頼んで再度連絡してるのに・・・。
そんなことでこっちを振り回さないでほしいなぁと、ちょっと、イラっとしました。
しつこく電話が来る
しかしです。 また翌日、ハローワークのXXさんから私の携帯に電話が来たのです。
その時は、またもや出張中ではありましたが、電話を取ることができました。
すると、XXさんはこう言いました。
「あの、御社にどうしても応募させたい人がいるのですが・・・。」
私:「募集はとっくに終わっていますけど・・・。」
XXさん 「いや、どうしても御社で働かせたいんです! お願いします!」
私:「??? どうしても弊社って、そんな勝手なこと言われても、空がないので困ります!」
XXさん 「本人が外資系に転職したがっているんです!
それに子供も近いうちに欲しいし!
御社は、社長さんが小さいお子さんがいる女性ですよね!
本人に何気なくそんな話をしたら、どうしてもその会社で働きたいって譲らないんです!
お願いします! 助けると思って!」
なんじゃそりゃ~!
なんかそれ、あなたの身内の話っぽいよ~!
っていうか、あなたの奥さんの話でしょ!
そんなこと言ってくるのおかしくない?
と、言いたくなるのを我慢して、務めて冷静にこう言った。
私: 「余剰人員を採用する余裕は弊社にはありません。」
XXさん: 「そこをなんとか・・・」
私: 「できません。 なんとかなりません。」
XXさん: 「次に空が出たら優先的に採用してもらえませんか?」
私: 「そんなことはできません。 弊社では履歴書のプール制をとっていませんし、次に募集をする際にも、公平に審査をして、弊社にとって一番良いと思われる方を採用いたします。」
ハローワークに苦情の電話
電話を切った後、なんか無性に腹が立ちました。
ハローワークという公的な立場を利用して、自分の身内を優先的に就職させようなんて、ずるいし!
しかも空ポジションがないのに、無理やりなんとかしてくれっておかしくない?!
そのために、何度も自分の携帯に私から連絡させようとして、私や社員を振り回して、なんて勝手なの!
なんかこのままだと気持ちが収まりません。
申し訳ないけど、どう考えても、XXさんのやっていることは許されることではないのではないかと思いました。
なので、翌日、ハローワークに電話しました。 そして、XXさんの上席の方とお話ししたいと伝えました。
その電話に代わって出たXXさんの上席の方は、ちょっと年配の女性でした。
会社名を伝えると、「ああ、社長さん、覚えています。 私が募集受付の対応をしました。」と言われました。
私と世間話をしたあの年配の女性でした。
事の顛末をお伝えすると、「ありえない!」と言って、本当にびっくりされていました。
そのXXさんの上席の女性は、募集受付の時に私と話して、私の状況を知り、
「若いのに、外資系の社長で、赤ちゃんを育てながら頑張っているんですって~。」と、
部署の人達に話したと言いました。
それを聞いたXXさんが、個人的に暴走してしまったのだろうとのことでした。
「ハローワークが立場を利用して、個人的に採用をお願いすることは絶対にない。
XXさんがやったことは、あってはならないこと。
自分も上席として監督不行き届きで恥ずかしい」と言って、平謝りしてくれました。
弊社までお詫びに来ると言ってくださったのですが、お互いに多忙なのでそれは必要ないとお伝えしました。
会社や私の状況を見て評価してくれたり、会社で働きたいと思ってくれるのはうれしいことですけど、一方的な思い入れには正直、困惑しました。 ストーカーに遭ったような気持ちでした。
逆を言えば、子供がいる(特に小さい子がいる)女性の就職がそれだけ難しいということ。
また、事務職は派遣ばかりで正社員採用がよっぽど珍しかったということ。
それらを実感して、そんな状況が変わってほしいし、変えていかなくちゃと決意を新たにした事件でした。
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