社長として会社を経営していたので、お金メンターとして活動する遥か前から、起業したいという相談や、起業している人からの相談をたくさん受けています。

おおっぴらに告知することはなく、ほとんどの人が口コミでやってくるのですが、その中で意外と多かったのが

「値上げできないタダ働き地獄」です。

 

このケースのほとんどが

「主婦だった人が、自宅で開催するお教室やサロン」です。

 

当時、BtoBしか対象でなかった私には、理解できない世界だったのですが、

「自宅でのお料理教室」

「自宅で教えるテーブルコーディネート」

「自宅で教えるプリザーブドフラワー」

「自宅でビーズなどのアクセサリー作りの教室」

「自宅でパン教室」

「自宅でエステサロン」

「自宅で行うなんとかヒーリング(名前忘れました)」

 

などなど、本当に何件も相談を受けました。

 

これらの方々に共通している悩みは、「値上げができない」でした。

 

先ずは、背景を知ろうと、今の価格設定を聞いて、一日何人ぐらいのお客様が来るのかを聞きます。

それからコストを計算すると、ほとんどの場合で、利益はほんのわずか。

材料費などを自腹で払ってマイナスになっている方も多々いました。

全てのケースで、まっとうな自分の労働の対価(時給や給与分)を得られている人はいませんでした。

完全にタダ働き、よくても時給300円程度の計算です。

それを現実的として、数字で算出すると、みな一様に愕然とされました。

 

それなのに、最初はみんな

「お金もうけのためにやっているわけじゃない」

「自分が好きだからやっている」

「楽しいからいい」

などと言います。

 

私が

「そう、別に私の問題じゃないからいいけど、でもじゃあなぜ私に相談にきたの?」

と聞くと、うつむいて

 

「本当はもう疲れました。」と泣き出してしまいます。

準備に時間がかかるし、自分もいろいろ勉強しないと、すぐに教える内容がワンパターンだと言われてしまうし、材料費などを考えると全然自分の時間やお金に余裕がない。 もうなんのためにこんなことやっているのか、分からない・・・・と。

 

なので、私が

「じゃあ、いくら貰えれば楽しくこれを教えられる?」

と聞くと、皆さんそこまで大金は求めていないものの、やっぱりちょっといいランチに行けるぐらいの金額を言う。

 

そこからコストを換算して「じゃあ、このぐらいの設定にしないとね」と価格を算出してあげます。

 

すると、みな同じように

「値上げをすると、顧客になっているママ友から悪口を言われるから、値上げできない!」

と言うのです。

 

私が、「その価格が高いと思ったお客様が来なくなるだけでしょう?」

と言っても、ある方などは、ママ友どうしで教えあっているらしく、自分のお料理教室に来てもらっている代わりに、付き合いで相手のお習字教室に行っているとのこと。

だから月謝が同額で損得なしになっているから、自分だけ値上げしたらヒンシュクを買うと訴えていました。

 

そういう時は

「何のために、そのお教室やサロンをやっているのか?」

を考えてもらいます。

 

そこで、きちんと「自分のサービスを提供してお客様に喜んでもらいたい」と思っている人は値上げに踏み切れます。

そういう方には、

「そこで一度お客様が離れたとしても、きちんと良いサービスを提供して、しかるべき宣伝をすればビジネスを立て直せるから!」

「むしろ、ここは一段階上に成長する時期だと思って!」

「お友達に義理で来てもらっても、そんなビジネスはどうせ続かないから!」

と説明します。

 

そこで決意できた人は、キリっとした顔になって覚悟が決まるようです。

お友達に何を言われようと、「その分サービスを充実させるから!」とかわしたと後日報告を受けました。

中には一度サロンをお休みして、その後お友達には一切告知せずに再開した方もいます。

 

ここで変われた人は一時期は苦労しても、ちゃんとビジネスを続けていけるんです。

 

でも、何かと理由をつけて現状維持を選んだ人は、その後も

「値上げできないタダ働き地獄」です。

 

どうしてそこまでしてお教室をやりたいか?

そこが鍵です。

 

結局は、自分のアイデンティティーが欲しいのでしょう。

「お教室をやっている私」が好きなのです。

「サロンをやっている私」は他の人と違うのです。

人からすごいねって言われたいのです。

ドレスを着て、サロンをやっている女性の集まりに参加しているキラキラな私が大事なのです。

 

たとえ、どんなに持ち出しが多くても、そのために貯金が一切無くなって娘の大学進学時に借金をする羽目になっても! です。

 

「自宅でお教室やサロン」の起業をする方はこの「値上げできないタダ働き地獄」に陥らないよう、先ずは何のためにやるのかを考えてみてください