Who is she? Cat’s mother?

 

前回の

英語の表現 Pleaseは「どうぞ」ではない。 ヒンシュクをかわないために

http://shimizuchie.com/morau-okagesama/english-please-thankyou/

 

にて、イギリスの母が、言葉遣いの躾でよく言っていた3つの言葉の2つを紹介しました。

 

さて、今回は3つ目の「Who is she? Cat’s mother?」についてです。

 

これは、どういうことかと説明しますと、本人を目の前にして、その人のことを話すときにhe とか she は使わないということです。

 

たとえば、私と、Aliceさんと、Bettyさんと話していたとします。 そして、私はAliceに、Bettyさんはテニスをするのが好きだと教えたいとき、日本の英語教材にはこのように書かれていると思います。

 

私: Hi, Alice.  This is Betty.

Alice: Hi Betty, my name is Alice.

Betty: Hi, Alice.

私:By the way Alice, (Bettyを指して) she likes to play tennis.

 

とまあ、こんな感じです。

 

さて、これをやったら、私の(イギリスの)母は即時にこう言って怒ります。

 

「Who is she? Cat’s mother?」 

 

直訳すると、「彼女って誰のこと? 猫のお母さん?」 という感じでしょうか・・・。

 

きちんと名前を主語にする

 

その人の目の前で、その人のことをsheとかheで呼ぶのは大変失礼です。

きちんと名前で呼ぶものです。

(もちろん、話の流れとか、砕けた感じとか、強調したいときにわざと使うとか、例外はありますがここでは省略します。)

 

これは、日本語で考えれば同じだと思います。

普通、Bettyさんを目の前にして、Bettyさんのことを「彼女は~」とは言わないですよね。

英語でも同じです。

日本語で言うところの「こいつ~なんですよ。」的に使うなら別ですが・・・。

 

なので、正しくは

 

By the way Alice, she likes to play tennis.

 

ではなくて、

 

By the way Alice, Betty likes to play tennis.

 

と、きちんと名前を主語にして言いましょう。

 

名前を忘れてしまった時

 

もし、名前が分からなくなってしまったら、正直に「すみません、もう一度お名前聞いていいですか?」と確認してから、その名前を主語にして会話を続けます。

 

そうじゃなかったら、女性の場合はshe ではなくて 「This lady」で代用すれば失礼にはなりません。 女児から若い女性までなら「This young lady」でも使えます。

男性なら「This gentleman」ですよね。 男の子や若い男性なら同様に「This young gentleman」といえば大丈夫です。

 

そして、その会話の後、その人の名前を確認するのを忘れずに。

 

日本語は主語が無くても話が通じる特殊な言語

 

そう考えると、主語が無くても意味が成り立つ日本語って便利かもしれません。 He とか She さえなくても、「テニスが好きなんだよ」って言えば、相手が誰の事か推察してくれて、通じてしまいます。

 

私はこの母のしつけのおかげで、名前を覚える重要さを認識しました。

そして、なるべく名前で呼ぶということを心がけていたました。

その習慣は、日本に帰国してからも、営業でとても役に立ったと思います。

名前をなるべく多く使った方が、相手との壁がなくなる感じがあります。

 

オペラのツーランドットでもそうですよね。 「どこぞの王子の名前を知らないからってなんなの?」 と、私には全く理解できないと思っていました。 (全体的にもこのオペラは、ちょっと話に無理やり感は否めないですけど・・・)

 

それに、恋した彼女が自分のことに全く気付いてもらえないという歌で、 「She doesn’t even know my name」というフレーズがあったと思います。 それも、留学する以前はあまり実感できないものがありました。 だから何? と思っていました。

 

でも、「猫のお母さん?」の躾で、ツーランドットもこの歌ももう少し深く思えるようになりました。

 

名前って、親が願いを込めてつけるものなので、やっぱり大事なんですね。