技術の知識・経験のある営業を募集
本当に採用はいろいろなドラマがあり、こちらの常識からすると考えられないようなことも多々起こるものです。 今回は、営業を募集していた時に実際にあった話です。
営業を募集するにあたって、人材紹介会社はもちろんですが、念のため、ハローワークにも募集を出しました。
営業と言っても、私の会社はかなり特殊な分野のテクニカル機材を扱っているので、技術の知識や経験が必須でした。
扱っている製品内容を理解するのに、物理や電気の知識はもちろん必要でした。 それに加えて、大手メーカーの研究所や生産技術の方々に機材のことを説明しなくてはならず、そのためには顧客がどういった製品を作っているのか、何の研究をやっているのかの概略を理解できないと話になりませんでした。
ですから、ハローワークの募集要項にも細かく“○○分野の△△技術が理解できる方に限る”と明記していました。
ハローワークから申し訳なさそうな電話
募集をして数日後、ハローワークから電話がありました。 でも、電話口のハローワークの男性職員がとても申し訳なさそうに話しています。
ハロワ: 「本当に申し訳ないんですけど、採用の件で確認です。 記載されている分野の技術が分からないと無理ですよね・・・?」
私: 「はい、無理です。 分からないと実際に業務を遂行することが不可能だと思いますので。」
ハロワ: 「そうですよね~。 申し訳ありませんでした。 どうしても応募したいという方がいらっしゃって、理工系の知識が全くない方なので、無理ですとお伝えしたのですが、納得していただけなくて・・・。 お手数をおかけいたしました。」
えぇ~! また、“どうしても御社で働きたい”ってやつですか? (←社員採用実話 ハローワーク職員の問題行動 参照)
もうイヤ~! と、心は叫んでいます。
ハロワ: 「すみません、少し待っていただけますか?」
そう言いながら、その職員が他の人と話しているのが聞こえてきた。
(話している声) 納得していただけましたか? 無理ですって・・・。
(ごちゃごちゃ揉めている声)・・・。 だから、技術的なことが分からないと無理ですって言われたでしょ。 え? 技術分かる?! だって、さっき技術は分からないって言ってたじゃなですか! (ごちゃごちゃ話している)
ハロワ: 「もしもし。 申し訳ありません、今、本人が目の前にいるのですが、納得していないので、御社製品の技術的な説明をしていただけないですか? そうすれば本人もあきらめると思うので・・・。」
変な電話・・・と思い困惑したが、でもなんだかハローワークの職員の方がお気の毒に思い、協力することにしました。
自分、大丈夫っす!
私: 「初めまして。 ○○会社の清水です。 弊社の製品は・・・」と、一般的にはあまりなじみのない専門用語を多用して、概略を説明ました。
私: 「こういった製品なので、専門知識が無いとできない仕事なんです。」と言うと、応募者の男性(30代)が相撲取りのような調子でこう言いました。
応募者: 「自分、大丈夫っす! 出来ます!」
何が大丈夫なんだ~! そんな訳ないでしょ~!
と叫びたいが、ぐっとこらえて、冷静な口調で諭すようにこう話しました。
私: 「では、説明した、物理の△△現象とか、分かっています?」
応募者: 「大丈夫っす! 自分、それ実際に見たことありますから!」
いや、その現象、目で見えないから~! (心の叫び)
今すぐテストしてください
そして、応募者の方が、相撲取りの口調でこう続ける。
応募者: 「あのですね、今、テストしてください。 電話面接ってことでお願いしやっす!
面接のテストとしてですね、今なんか質問してください。 自分、答えますから!」
え~! なんで、断っているのに分かってくれないの?
なんで、勝手に、強引に、電話面接ってことにするの?
(求職活動しないと失業手当がもらえないから?)
でも、早く穏便にこの不毛な時間を終わらせたいので、“面接ではない”と念を押したうえで、とりあえず質問することにしました。
私: 「△△現象において、この計測機器で測定する単位は?」
応募者: 「・・・・。 パス!」
は~?! パス~!!!
私: 「あの、申し訳ありませんが、これって本当に、基本的な物理の知識があれば分かることなんです。 これも答えられないようですと、やはり応募いただいても、お互い時間の無駄だと思うのですが・・・」
応募者: 「いえ、自分、大丈夫っす! 分かっています! あの、あれですよね。 あれ! あの単位です。
大丈夫っす、分かっていますから!」
私: 「あれって何ですか? 答えてください。」
応募者: 「自分、分かってるんで~。 では、電話じゃなくていいので、明日、御社でテストしてください!
○×テストで!
そうすれば、自分ができるってこと、分かってもらえると思うんっす!
○×テストなら自分大丈夫っすから!」
ハローワークの担当ともみあい?
もう、わけが分からず、唖然としていると、電話口がなんだか揉めている。
2、3人の男性が「もう、いい加減にしてください!」 とか、「いいから、電話を切りなさい!」とか、怒鳴っている。 そして、ドタバタした、物がぶつかったりする音も聞こえる。
「あ、やめなさい、こら!」
「手を放しなさい!」
「いいから、受話器をかして!」
「いい加減にしなさい!」
「○○さん、一緒に取り押さえて!」
飛び交う怒号、悲鳴。 そしてドタバタした音。
なんか、電話の向こうが修羅場になっているようでした。
すると、最初に話したハローワークの職員の男性が電話で、息切れしながら「大変申し訳ありませんでした。 応募不可能ってことで、失礼します。」とまくし立てて、慌てて電話を切られました。
私も電話の向こうで何が起こったのか、いまだに分かりません。
でも、想像するには、応募者の方に電話を切らせようとしたら、暴れだしたのではないかと思います。
前回、ハローワークの職員の方に振り回された話を書きましたが、それはその方だけの話だと思います。
実際には、いろんな人に対応しなくてはいけない大変な仕事だと、この件で実感しました。
世の中、本当にいろんな方がいますよね・・。
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