私はこう見えて、一応理工系のエンジニアなので、息子の物を選ぶときにどうしても「かわいさ」よりも「機能や品質」を重視してしまう。
そして、一番の問題だったことは、社長時代は忙しすぎて買い物に行けなかったこと。 ゆっくりお店を見ている時間なんて、なかなか取れなかった。 その結果、息子の持ち物は意図せずにメリハリの利いたものになってしまっていた。
服のメリハリ
息子は生後3か月から保育園に預けていたが、ご存じのとおり、保育園は着替え用に服をたくさん持って行かなくてはいけない。 とにかく数が勝負なのだ。 子供はすぐに体が大きくなって着られなくなってしまうのに、服の枚数が必要。 少ないと、洗濯が大変になって生活が成り立たなくなってしまう。
幸いにも、息子の服に関しては、近くに住む妹がたくさんお下がりをくれた。 それで小学校までは9割はまかなえた。 しかも、ちゃっかりしている妹も、どこからの知り合いからお下がりをもらってきていたらしく、息子は名前が3つぐらい横線で消された服をいつも着ていた。
だんだん、タグに名前を書く場所がなくなって、極細マーカーで小さく名前を書くのが得意技になるぐらいだ! まあ、平たくいえば、かなりくたびれた服ばかりだった。
しかし! 私が唯一、買い物をゆっくりできる期間があったのだ。 それは、海外出張の空港での待ち時間とか、海外出張で土日が入ってしまう日程の時だ!
そんな時には、ここぞとばかり買い物をしていた!
結果として、息子はくたびれたお下がりの服がほどんどだったが、でもその中にたまに真新しくて、デザインがカッコいい舶来物の服が数枚あるという、
「お金持ちなんだか、貧乏なんだか分からない」メリハリのある服のコレクションで過ごしていた。
保育園のお布団カバー
保育園では、子供はお昼寝をするので、使うお布団のサイズに合わせて、布を買って、布団カバーを手作りするのだ。
息子が乳児の頃は、妹が作ってくれたカバーがあったのだが、2歳の時に転園し、そこでまた違ったサイズの布団カバーを作らなくてはいけなかった。
が、もちろん私にはそんな時間がない! しかも息子はアトピーがあったので、寝つきが悪く、肌触りのいい布が必須だった。 そこで、私はネットで検索してシルクのカバーをオーダーメイドで作ってもらった。 時間がない働くママは、お金で解決できることはお金で解決しないとやっていけないのだ!
「さあ、どうだ! シルクの寝具で眠るなんて、王子でしょう!」と、
ドヤ顔で、初めて保育園でお布団にカバーをかけた。 が、他の子はトーマスだの、プーさんだのメルヘンな布団カバーな中、自分だけが地味なブルーグレーのカバーだと悟った息子は半ベソ状態。
でも、そんなことで怯む私ではないのだ。 その場で極太油性マジックを借りて、カバーの下の方にガッツリ画いてあげましたよ。 高級シルクシーツに「アンパンマン!」
先生たちは唖然、息子は大喜び。
極めつけは、エプロンタオル!
保育園にもよるが、息子の通っていた保育園ではタオルを半分に折って、真ん中で紐を通して縫うエプロンタオルを1~2枚持たせることになっていた。 それを食事やおやつの時に、こどもの首から下げて使う。つまりよだれかけ。
もちろん、私も3、4枚、青い星模様のメルヘンなタオルを買って作った。 家は全自動の乾燥機付き洗濯機があったので、その枚数で何とかなっていた。
しかし、息子が2歳ぐらいの時、2週間のドイツ出張があった。 出張の時は近くにある実家に息子を預けていた。
帰国し、保育園に息子を迎えに行くと、ちょうどおやつの時間で、みんなミッキーやキティちゃんのエプロンタオルをして、かわいくおやつを食べている。
そんな中、なんと息子は「○○建設」と書いてある白いエプロンタオルをかけているではないか!
もう倒れそうなぐらいびっくりしたが、息子は無邪気に笑っておやつを食べている。
そう、乾燥機がない実家では洗濯が追いつかず、孫かわいさに“じいじがエプロンタオルを自作”したらしい。
この伝説のエプロンタオルは未だに捨てられず、我が家にある。